水属性の聖女は、鈴木氷雨なのでござる 第4話

「さすが、姫よ、学習能力が高いのでござるね」

「姫をなめんじゃねーよ」

「これ、お姫様じゃないよね?

こんなことになるなら、最初から助けに行かない方がよかったんじゃ・・・・」

「姫として、おらは様々なことを耐えてきたんだ。

我が王国の、お城を壊せるくらいの修行とか」

「それは、お姫様のやることじゃない」

「あたくしも、それなりの修行をしてきたでござるよ。

引きこもり生活とか」

「それは、何の修行でもない!」

「ほう、なかなかの努力じゃねーか」

「それ、努力なの?」

「努力は、努力でも、おらは、姉のための頑張りだった。

おらは、第四王女で生まれ、様々な我慢をしてきた。

第三王女が、少しでもお嫁に行けるようにするために、あたくしはこんな髪型に・・・・」

「姉三人の髪型も、お嫁に行きにくい髪型だと思うけど・・・・」

 坊主頭のお姫様からは、涙がこぼれていた。
 口は悪いかもしれないけど、きっと、様々な我慢をしてきたのだろう。

「あたくしも、この髪型でいるのは、三つ編みをするためだったのでござる。

あたしは、小さい頃はショートヘアーだったんだが、水の聖女として選ばれてしまい、そのために髪を伸ばすことになったのでござるよ」

「てめーも、それなりの使命があったのか?」

「君が第四王女としての使命があるように、あたくしも、聖女のための使命があり、自由を規制されることもあったのでござる。

髪を切っては、いけないとか。

聖女たちは、そのために髪を伸ばし、三つ編みもそうだし、縦ロールにしている子もいたのでござるよ。

だから、髪を自分の好きなようにできない。君の気持ちが痛いほどにわかるのでござる」

「髪を切れないのと、坊主にされるのとでは、全然違うのでは?」

 あたくしも、水の聖女として、耐えなくてはならないことがある。

 それは、お姫様も同じのはず。
 お姫様で生まれるということは、それ相応の責任があり、好きなようにヘアーアレンジができないこともある。

 それは、同じ女として生まれてくれば、あたくしにも、わかるんだ。

「おらは、間違っていた。

自由を規制されることに嫌気をさしていたんだ・・・・」

「姫は、生まれながらにして姫でござる。

だから、生まれた時から、自由がないなんて、あたくしはもっと辛かったと思うのでござる」

「叔母さんは、自由な生活しか送ってないと思うけど?」

「第一王女は、アフロにしなくてはいけなくて、

第二王女は、リーゼントにしなくてはいけなくて、

第三王女は、スキンヘッドに刈られ、

第四王女は、坊主頭。


女の子で生まれるなら、自由な髪型にしたい・・・・」